2.【新聞報道等による国旗・国歌の自粛文書について】
質問の第一は、新聞報道等による国旗・国歌の自粛文書についてであります。 去る八月三十一日の産経新聞の一面に大変ショッキングな報道がなされました。すなわち、本県教育委員会が平成四年に、入学式・卒業式の国旗掲揚、国歌斉唱にブレーキをかけるような文書を、当時の菅川教育長名で県高等学校教職員組合に提示していたというものであります。その文書は、「二・二八確認書」とか「菅川確認書」などと呼ばれているようですが、内容は、日の丸を「侵略や植民地支配に援用された」などと敵視し、君が代の歌詞についても、「憲法になじまない」、「差別につながる」などと批判しており、国旗・国歌の尊重を求めた現行学習指導要領を逸脱するようなものとなっているのであります。さらに、この文書の趣旨を徹底させるために、県教育委員会から「文理解釈」が出され、現状のままでは、国旗の掲揚も、国歌の斉唱もできないと思わせるような内容になっております。我が国の国旗・国歌については、過去に戦争などの不幸な経緯があったことは事実ですし、これについて一部の人たちが反対する意見を持っていることも、全く理解できないわけではありませんが、過去の戦争に対する反省は必要だとしても、日の丸・君が代自体に問題があったわけではないのであります。旗や歌には責任はないのであります。「二・二八確認書」について、菅川氏は、新聞の中で「広島県高教組に提示したものだ。反対運動の考えも文書に盛り込み、それを説得材料とすることによって、日の丸・君が代教育を推進したかった」と説明しており、また、学習指導要領との関係については、「学習指導要領に書かれていることが、すべて国民のコンセンサスを得ているとは限らない。しかも、指導要領は時々の為政者の考えによって変わり得るものだ。国旗・国歌の取り扱いは、地域の実情に即したものであってもいいのではないか」と述べております。そもそも、日の丸・君が代教育については、臨時教育審議会などでの審議を経て、教育課程審議会で入学式・卒業式などの儀式における国旗掲揚・国歌斉唱の明確化を求める答申が出されたものであり、その答申に基づき、平成元年からの新学習指導要領に盛り込まれたものであります。国会においても、歴代の内閣総理大臣や文部大臣は、長年の慣行により、日の丸が国旗、君が代が国歌であると認識しており、子供たちが将来、国際社会に生きていくため、国民として必要な基礎的、基本的資質として、我が国の国旗・国歌はもとより、諸外国の国旗・国歌に対する正しい認識と、それらを尊重する態度を育てるために指導する意義を認めております。 本年八月の文教委員会での「学習指導要領は法的拘束力を持つか」との私の質問に対し、教育長は、「学習指導要領は法的拘束力を持つ」と明確に答えられました。その学習指導要領で「入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする」と規定している限り、日本国内すべての地域で遵守すべきことは明白であります。明らかに間違った認識を持った菅川氏という教育長により作られた「二・二八確認書」は、何ら法的拘束力もなく、直ちに破棄すべきものと考えるものであります。また、先ほどの産経新聞には、木曽教育長の見解として、「実際の教育現場で学習指導要領に逸脱して極端な反日の丸・君が代教育が行われているのであれば、是正しなければならない」とありました。そこで、この確認書による恐るべき弊害を提示したいと思います。 先日、私は一九九五年度版の「加茂の教育」という福山市立加茂中学校の冊子を入手いたしましたが、この中の人権学習指導案のねらいとして、このように書かれております。「日の丸・君が代が、現在学校の入学式・卒業式に強制されている現実を知らせる。」、「日の丸・君が代の歴史を簡単に学習する中で、日の丸は国旗ではないし、君が代も国歌ではないことを知らせ、日の丸・君が代の強制に対してどう思うか、考えを交流しあう。」、このように、「日の丸は国旗ではないし、君が代も国歌ではない」ことを知らせるという、明らかに学習指導要領を逸脱した授業が歴然として行われているのであります。全く常軌を逸した恐ろしい教育が、「二・二八確認書」により加茂中学校では行われている。実は、こんなことは加茂中学校だけで行われているのではなく、私の調査では数校既に見つかっているのであります。 そこで、第一点目として、四項目についてお伺いをいたします。 その一として、広島県教育では、日の丸は国旗、君が代は国歌ではないのか。 その二として、この加茂中学校の例は、教育長の言う学習指導要領を逸脱した極端な反日の丸・君が代教育ではないのか。 その三として、この「加茂の教育」という冊子による指導は、法的拘束力を持つ学習指導要領に明らかに抵触しているが、この現実に対して、どのように対応されていくつもりか。 その四として、今後、この学習指導要領に逸脱した極端な反日の丸・君が代教育をどのように是正していかれるのか、教育長にあわせてお伺いをいたします。 次に、今月、産経新聞社から発行された「正論」十月号に掲載されました広島県教育の実態についてお伺いいたします。それによりますと、本年二月、福山市立城北中学校で、日の丸・君が代を攻撃する内容のビデオを鑑賞するとともに、「天皇制」から「元号」についての問題点を学習するという人権学習指導案が検討されたが、一人の勇気ある教諭が、反日の丸・反君が代・反天皇教育に対して賛否両論を紹介し、その判断は生徒に任せるという方針で中立の授業をしたところ、差別授業であると決めつけられ、学年職員会で批判されたということであります。さらには、この教諭は本年四月から別の中学校に転任し、転任すると連日のように福山市教育委員会に出頭を命ぜられ、事情聴取と糾弾を受けた。そして、四月七日の始業式より四月十七日までの授業停止処分を受けたとのことであります。私は、この教諭と実際に会って直接話を聞いたところ、意外な事実が判明をいたしました。それは、福山市教育委員会による事情聴取の過程で、福山市教育委員会学校教育部長は、その教諭が、同和対策審議会答申にもある教育の中立性に従って授業を行ったと主張し、その文書を提示したところ、その文書と主張を退けさせ、かわりに「二・二八確認書」を示し、「日の丸・君が代についての県教育委員会の解釈がここにある。県のトップがこういう確認書を出しており、君も行政の一員であるならば、これを守らねばならない」と、反日の丸・反君が代・反天皇教育をしなかったことを厳しく指摘したとのことであります。また、この教諭が間違ったことをしていないという強い信念を持っていたため、福山市教育委員会同和教育指導課長が、「一人で反省文を書くのは大変だろう」ということで、「日の丸」「君が代」等に関する授業の反省という課長自身が作成した文書を、本人が同意していないにもかかわらず、その教諭の謝罪文として謝罪を促そうとしたとのことであります。本来、法を守るよう指導すべき立場の行政が、このような指導をすることは、学習指導要領を著しく逸脱するものであります。さらに、九月十七日に発行された解放新聞広島県版には、課長が作成した謝罪文が、本人のものとして引用されているのであります。このことは、明らかに行政と運動団体が一体となって違法な教育を行っていると言わざるを得ないと思うのであります。私は、この授業をさせなかったことは職権乱用であり、また、停止された授業が補われていないとすれば、憲法第二十六条で保障された国民の教育を受ける権利及び学校教育法施行規則第五十三条により教育課程で必修とされている科目についての生徒の学習権の侵害であると思います。 そこで、第二点目として、より具体的に四項目についてお伺いをいたします。 その一として、十日間授業をさせなかったのは教育委員会か、あるいは、校長の行った処分なのか。 その二として、生徒は十日間、この教諭の担当する社会科だけ外されて授業を受けているが、なぜ社会科だけを時間割から外すという異例の処置をとったのか。 その三として、その後、生徒にどのように、この十日間の社会科の授業を補ったのか。 その四として、学習指導要領に何ら違反していないにもかかわらず、十日間も授業をさせず、連日、市教委に呼び出して謝罪するよう指導したことは、教育基本法第十条に違反していると思うが、どうなのか。これらについて教育長の御所見をお伺いいたします。
「答弁」(教育長)
まず、国旗・国歌の認識及びその指導方針についての御質問にお答えいたします。日の丸・君が代につきましては、法令上の規定はございませんが、長年の慣行により、我が国の国旗・国歌として国民の間に定着していると認識しております。加茂中学校の事案につきましては、現在、把握することができておりませんので、福山市教育委員会の報告を受けて、事実関係を詳細に検討し、対処したいと考えております。教育委員会といたしましては、加茂中学校に限らず、学習指導要領を逸脱している事実があれば、関係市町村教育委員会を適切に指導し、是正を図りたいと考えております。 次に、「正論」十月号に掲載された広島県教育の実態についての御質問にお答えいたします。授業をさせなかったというお尋ねでございますが、福山市教育委員会からの報告によりますと、これは、いわゆる処分でなく、加茂中学校の校長が、当該教諭の授業にかかわる保護者の不安に配慮して、福山市教育委員会と協議の上、校長の判断で、当該教諭に授業を待つよう指示したということでございます。また、教科の授業が始まった四月十五日から三日間の当該教諭の授業につきましては、他教科の授業に振りかえをし、その振りかえられた授業は既に一学期の間に補われていると聞いております。 次に、福山市教育委員会が行った当該教諭に対する指導についてでございます。福山市教育委員会からは、校長の了解のもとに、城北中学校での授業内容等に係る課題整理についての相談や助言を行ったものと聞いております。こうした学習指導や教育課程等に関する指導・助言は、福山市教育委員会の主体的な判断に基づく対応であったものと受けとめております。
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