宇部市男女共同参画推進条例 経緯
第一章 総則 ◎答申案と条例の内容
・縄田欽一助役「答申を尊重し、より広く意見を聞くため、市民の代表である市議会などの意見も十分聞き、宇部市の姿勢をより明確にするため、一部を変更加えた」


(目的)
第一条
 この条例は、男女共同参画の推進に係る基本理念並びに市民、事業者及び市の役割を明らかにするとともに、行政が家庭や個人の思想及び良心の自由の尊重に配慮しながら、男女共同参画に関する施策の基本となる事項を定めることにとにより、当該施策を総合的かつ計画的に推進し、もって男女共同参画社会の形成を図ることを目的とする。
<第一条>
◎責務と役割
 基本法では、国、地方公共団体及び国民の責務を定めているが、内容的には、果たすべき役割について宣言的に規定したもの。宇部市では、市民が主役となって果たすことを強調し、役割分担を明らかにする意味から「役割」としている。

 男女共同参画を推進するにあたって、家庭や個人の思想及び良心の自由の尊重を再確認し、ジェンダーチェックなど、行政の行き過ぎが起きないよう配慮している。
 ・縄田助役「行政が家庭や個人の思想および良心の自由についてまで踏み込むものではないとの立場から配慮した」
 ・福山清二・市民生活部長「男女の人権を尊重し、思想チェックにならないよう気を付けたい」
 【参考】憲法 第19条[思想および良心の自由]思想および良心の自由は、これを侵してはならない。
(定義)
第二条
 この条例において「男女共同参画」とは、男女が、社会の対等な構成員として、社会の様々な分野における活動に自らの意志によって参画し、友に責任を担うことをいう。
<第二条>
 「男女の自らの意思によって社会参画する」という主体性を強調している。
(基本理念)
第三条
 本市における男女共同参画の推進は、次に掲げる事項を基本理念とする。

一 男女が、男らしさ女らしさを一方的に否定することなく男女の特性を認め合い、互いにその人格と役割を認めるとともに、尊厳を重んじ合うこと、男女が性別によって法の下の平等の原則に反する取扱いを受けないこと、男女がその特性と能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人格的平等が尊重されるよう努めること。


四 家族を構成する男女が、家庭尊重の精神に基づいた相互の努力と協力の下に、愛情豊かな子育て、家族の介護その他の様々な家庭生活の営みにおいて、すべからく家族の一員としての役割を円滑に果たしつつ、就業その他の社会生活における活動を行うことができるよう配慮に努めること。ただし、それぞれの家庭における役割の重要性や子どもへのの配慮を軽視することのないよう十分に留意すること


五 専業主婦を否定することなく、現実に家庭を支えている主婦を男女が互いに協力し、支援するよう配慮に努めること。
<第三条>
 「男女が差別によって法の下の平等の原則に反する取扱いを受けないこと」とは、憲法第14条第1項後段列挙事由である「性別により差別されない」ことを確認的に規定したもの。
 ・縄田助役「男女共同参画をらしさ否定と受け取る向きもあるが、一般的に言う男らしさ・女らしさを否定するものではないことを明記した。個人のとしての尊厳が重んじられることが重要であるという考えに基づいた」


第四号は、家庭生活における活動も社会活動の一つと位置づけ、男女が、家庭尊重の精神に基づいた相互の努力と協力を行うよう配慮することを定めている。家庭・家族解体を意図する一部の主張に同調しないよう、家庭の重要性を打ち出した点で画期的。

第五号は、家庭生活の活動において重要な役割を果たしている専業主婦の役割を軽視することなく、むしろ支援・配慮を求めている。「専業主婦」と言う言葉が条例になじまないとの論議もあったが、専業主婦否定の風潮と一線を隠す意味で、あえて条文に入れたことは高く評価できる。
(市民の役割
第四条 −−略−−


(事業者の役割
第五条 −−略−−


(市の役割
第六条 −−略−−
◎市民、事業者、市の役割
・縄田助役「市民、事業者、市が自ら主体的に取り組み、三者が連携して、それぞれの役割を果たしていくことが必要とされるため、責務ではなく、役割とした」
宇部市男女共同参画推進条例の主なポイント

1.男女を対立関係ではなく、相互協力と人格的平等に基礎を置いた。
2.思想及び良心の自由に対する配慮を明記した。
3.市民、事業者及び市の協働における役割分担と「市民主役」の立場を明記した。
4.「男らしさ女らしさ」「専業主婦」「家族の役割」など、日本の伝統と文化及び地域的特性を背景とした基本理念を定めた。
【宇部市と男女共同参画】

 宇部市は、平成10年6月に、中国地方で初めて男女共同参画宣言都市となり、県内でもいち早く「女性問題対策審議会」を立ち上げるなど先進的な活動をしてきた。平成10年6月に国の「男女共同参画社会基本法」が制定され、山口県も翌年10月に都道府県として全国3番目の条例を施行。宇部市も県下2番目の市条例の制定を目指していた。
 しかし、宇部市から発行された男女共同参画の小冊子に結婚制度を否定するような内容が掲載されたり、文科省委嘱の子育て支援パンフレットなどで、男女共同参画の問題点が明らかになるにつれ、市民、議員から市条例制定や審議会答申案の中身に疑問を持つ声が上がり、そうした声を反映したきわめて良識的な条例となっている。